首都圏外郭放水路に行ってきた!高い技術と建築美を兼ね備えた地下神殿の全容に迫る

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埼玉県春日部市にある首都圏外郭放水路は、中川・綾瀬川の浸水被害を防ぐ目的で作られた施設です。昨今のゲリラ豪雨や台風の影響で洪水による被害を最小限にとどめる役割を担っています。一方で、近未来的な風貌の施設であるため、ドラマや雑誌の表紙、アーティストのPV撮影などにも使用されています。今回は一般見学会に参加し、龍Q館と地下に作られた調圧水槽を見てきました!

首都圏外郭放水路とは

首都圏外郭放水路は中川・綾瀬川の浸水被害を防ぐ目的で作られた地下トンネル形式の排水施設です。これまで、大雨のたびに浸水被害にあってきた中川・綾瀬川も、同施設が作られてから雨水や氾濫した川の水がスムーズに調圧水槽に流れるシステムとなり、平成12年と比較して、同施設が完成した平成17年は浸水戸数・面積ともに三分の一に激減しています。

中川・綾瀬川はなぜ浸水被害が多いのか

このエリアは盆地のように地盤がへこみ、お皿のような形になっています。そのため、大雨が降ると水がどんどん溜まってしまい、川からの排水が間に合わなくなるそうです。また、急激な都市化によって河川整備や下水道整備が間に合わず、外郭放水路ができる以前は住民の被害も大きい地域でした。

どんな役割を担っているのか

先にも記述した通り、中川・綾瀬川の浸水防止のために調圧水槽に水を貯める役割を担っています。さらに、貯めた水は江戸川へと流します。水の鮮度が保たれているうちに江戸川に流すことで、生活用水ならびに飲料水として利用されています。

東京ドーム15杯分の水を放出する実績

首都圏外郭放水路は通水を開始して以来100回以上の稼働実績を持ちます。これまでの実績のうち、放水量が一番多かったのは平成27年9月の台風17号・18号が直撃した時。なんと東京ドーム約15杯分(オリンピックサイズプールなら約5100杯分)を放出。同施設がなければ甚大な被害が及んだことは容易に想像できますよね。

見学は無料!

日本の市区町村だけでなく、世界中からも技術の高さが評価され、視察に訪れたり、CNNニュースに取り上げられたりと注目されています。さらに調圧水槽の圧倒的な美しさも見どころの一つです。そんな技術と美しさが詰まった首都圏外郭放水路は、一般見学会を随時開催しています。見学は無料の予約制です。火曜日~金曜日(祝日除く)に3回、7月19日~8月31日の夏休み期間は4回行っています。月曜日は団体用の見学日です。見学は予約制で定員25名(団体は50名まで)。28日前からHPや電話で予約を行いましょう。

見学ツアーに参加してみた!

南桜井駅に到着。駅から出ているバスまたはタクシーで龍Q館へ、約10分ほどの道のりです。龍Q館に駐車場が完備されていますので、自家用車での参加もOKです。

龍Q館

まずは受付で入館証を受け取ります。見学会で見られる施設は、龍Q館と調圧水槽です。調圧水槽の一部は撮影できない場所もありますので、係りの人の注意に沿って見学を楽しみましょう。

見学所要時間は約1時間30分。足元にある地図や映像を使いながら、施設の役割や目的を学べます。

首都圏外郭放水路のシステムや作られた経緯が映像にまとめられています。

デモンストレーションがすごい!

実際に水が川から流れ、立坑に流れ込み、調圧水槽に貯められ、江戸川に放出されていく様子を模型によって見ることができます。このデモストレーションでは「すごい」という感嘆の声も聞かれました。どのような仕組みなのかということがわかりやすく説明してもらえますよ。

調圧水槽が稼働している間、この指令室で調圧水槽の監視、管理、放水を調整しています。水を貯めすぎても一気に放出しすぎてもだめだそうで、人の手によって安定的な放出を保ちます。

お待ちかね!“地下神殿”と例えられる 調圧水槽へ

敷地内にある調圧水槽に向かうため、3階から1階に集合。水槽は地下に作られており、116段の階段の上り下りがあるので、自分の体力に合わせて龍Q館に残ることも可能です。「調圧水槽を楽しみにしてきた」という見学者が圧倒的に多かったので、今回は全員参加で調圧水槽へ向かいました。

準備運動もしっかりやりましたよ(笑)

龍Q館を出るとゲートボールやサッカーができる広場、スケートボード場があり、若者からシニアまで思いおもいに過ごせる場になっていました。

調圧水槽に到着するまでは撮影NG。階段がつづき、足元が滑りやすいので注意しながら降りていきます。スニーカーやフラットシューズの着用がおすすめです。傘を持っている人は地上に設置されている傘立てに置いてから行きましょう。

地下神殿に到着!

楕円型の柱は1本500トン。全部で59本あるそうです。調圧水槽が水の圧、勢い、浮力に負けないように押さえつける役割です。調圧水槽の一部を見学場所とし、職員の手で水や泥の清掃が行われるそうです。「水槽内全体の掃除はブルドーザーが行います」というスタッフの方の説明に、「え、地下水槽にどうやってブルドーザーを運んでくるのだろう…」と疑問に思っていると、「上です」との返答が。

光が差し込んでいる箇所が開き、クレーンでブルドーザーを投入するそうです。掃除するだけでも大がかりな作業になるのですね。

また、地下は通年13度から14度と低い温度が保たれているので、夏は涼しく、冬は暖かく感じるそうです。

説明が終わると自由時間になります。安全面の配慮で見学範囲が決められていますが、柱を近くで見られますし、記念撮影もできますので充分楽しめました!

見学者インタビュー!意外と階段は辛くない?!

お話を伺ったのは。見学会でご一緒したさいたま市にあるシニアユニバーシティのOB・OG会の皆様。定期的に様々な施設見学やイベントに参加しているそうで、「外郭放水路は一度行ってみたかった」、「テレビで見ていた」とのこと。実際に参加してみた感想は、「意外と階段はつらくなかった。説明が明瞭で、こんなすばらしい技術を持っているなんて。いい経験になった」と、みなさん感動の様子でした。

職員の方にインタビュー!施設の見どころは?

お話しいただいたのは、国土交通省 江戸川河川事務所 首都圏外郭放水路管理支所 管理第一係長の矢部隆幸さん。

――調圧水槽はあえて地下神殿っぽくデザインしたのですか

「そんなことはありませんよ(笑)安全かつ潤滑に機能するため緻密な設計、計算をして作られました。計算上の美しさなのではないでしょうか」

――見学者の方にはどのような点に注目してもらいたいですか

「首都圏外郭放水路は水を貯めるだけの場所だと思っている方が多いですが、実際は貯まった水を江戸川に放流するまでの役割を担っているということを知っていただきたいです」

――平日・休日問わず1日3回の見学会が満員になるとのことで、とても人気ですね!

「テレビや雑誌などでも取り上げていただいておりますから、その影響もあるかと思います。個人的に見学者が増えた理由は、昨今の日本にみられる災害から市民の方々の防災意識が高まっているためではないかと考えています。」

――今後の取り組みについて教えてください

「これまで通り、首都圏外郭放水路はいつでも稼働できるよう、常に備えることが私たちの使命です。それに加えて、もっと多くの方に防災意識を持っていただき、施設がどのような働きをしているかということを知っていただく機会を設けたいと考えています。」

気になる見学ツアーの予約方法は?

インターネットの場合は、「江戸川河川事務所」を検索し、コンテンツにある「首都圏外郭放水路」をクリック。見学会の概要欄から個人見学の申し込みができます。(http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/kengaku/reserve/index.html

電話の場合は、首都圏外郭放水路 見学会受付(048(747)0281)まで。

インターネットは見学会の1か月前から予約可能。1週間前に締め切られます。電話予約のみ見学実施日の前日まで予約ができます。キャンセルや人数変更する場合は、電話またはインターネットで。人気ツアーのためできるだけ早めに連絡を入れるのがベターです。

取材を終えて

見学会に参加してみて、雑誌やテレビで見ていた調圧水槽がどのような役目を担っているのか、どうしてこの施設を作らなければならなかったのかが如実にわかり、非常に勉強になりました。日本の技術力の高さに驚いたと同時に、機械的な美しさにただただ圧倒されるばかり。工場夜景や廃墟好きなら、一度は訪れてみても良いのではないでしょうか。

■施設概要

  • 名称:首都圏外郭放水路
  • 住所:埼玉県春日部市上金崎720
  • 見学会開催日:火曜日~土曜日、月曜日は団体向け
  • 受付時間:9:00~16:30
  • 料金:見学無料
  • 公式サイト:http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/index.html

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