運慶芸術の真髄を味わう史上最大の展覧会、特別展「運慶」がこの秋開催

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紅葉特集2017

平安から鎌倉時代に活躍した日本でもっとも著名な仏師、運慶。その運慶と縁の深い興福寺の中金堂が、およそ300年ぶりに再建されるのを記念した展覧会が、東京国立博物館で開催されます。卓越した造形力が生んだ写実性にあふれる傑作の数々が一堂に会する特別展は、運慶芸術を堪能するまたとない機会です。

天才仏師・運慶の傑作が集結する、史上最大の展覧会

今回の展覧会は、運慶と縁の深い奈良・興福寺の中金堂再建の記念事業として企画されました。これまで門外不出とされてきた仏像も出品される、史上最大の運慶展となります。主な見どころをご紹介します!

重要文化財・聖観音菩薩立像

この聖観音像が寺から出るのは、今回がはじめて。肉付きのよい体躯と写実的な着衣の表現に、運慶の特徴が見られます。

重要文化財 聖観音菩薩立像 運慶・湛慶作 鎌倉時代・正治3年(1201)頃
愛知・瀧山寺蔵 写真:六田知弘

父・康慶から息子・湛慶、康弁へ 運慶の作風の誕生と継承

平安時代から鎌倉時代へと時代が変革する中で、運慶はそれまで主流だった仏師・定朝の様式とは異なる新しい表現を生み出しました。その特徴は、「八大童子立像」に代表される感情まで表現する迫真性。写実性に富み、精神の深みまで感じられる「無著菩薩立像・世親菩薩立像」は、肖像彫刻の最高傑作といわれています。

国宝・八大童子立像のうち 恵喜童子・清浄比丘童子・烏倶婆童子・恵光童子・制多伽童子・矜羯羅童子

不動明王像に随う八大童子として造られたもので、8体中6体が運慶の手によるもの。画像の制多伽童子は、造像時の彩色もよく残っており、完成度の高さにおいて屈指の作といわれています。今回の特別展では、この像をあらゆる角度から見ることができます。

国宝 八大童子立像のうち制多伽童子 運慶作 鎌倉時代・建久8年(1197)頃
和歌山・金剛峯寺蔵 写真:高野山霊宝館

国宝・無著菩薩立像・世親菩薩立像

無著・世親は5世紀の北インドに実在した学僧の兄弟。無著の静に対して世親の動と、対照的な容貌が印象的です。

国宝 無著菩薩立像 運慶作 鎌倉時代・建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺蔵 写真:六田知弘 
国宝 世親菩薩立像 運慶作 鎌倉時代・建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺蔵 写真:六田知弘

博物館でたっぷり味わう運慶 お寺では見られない表情も

国立博物館・平成館というお寺とは異なる大空間での展示によって、いつもとは違う距離感、違う角度でじっくりと鑑賞できるのも、今回の特別展示の魅力のひとつ。間近で見あげる四天王立像は、圧巻のひとことです。

国宝・四天王立像

豊かな装飾がほどこされた甲や着衣の表現もみごとな、躍動感あふれる四天王立像。

国宝 四天王立像のうち多聞天 鎌倉時代・13世紀
奈良・興福寺蔵(南円堂安置) 写真:飛鳥園 

未来に引き継ぐ運慶 調査研究の最先端を紹介

運慶の研究は今なお続けられており、この15年間でも新たに3件の運慶作品、あるいはその可能性が高い作品が見つかっています。X線CT撮影によって得られた像内納入作品の映像など、最新の知見もこの展覧会で紹介されています。

運慶を生んだ系譜――康慶から運慶へ

平等院鳳凰堂の阿弥陀如来座像の作者・定朝ののち、仏師集団は3つの系統に分れていきます。運慶の父・康慶が属していた奈良仏師は、保守的なほかの2派とは異なり、新たな造形を開発する気概を持っていました。
運慶の父、その師が手がけた像と、若き運慶の作品を展示することによって、運慶独自の造形が培われた過程に光が当てられています。

阿弥陀如来立像および両脇侍立像

定朝が完成させた和様彫刻(定朝様)は胸腹部が薄く、衣の襞が浅い穏やかな作風が特徴です。しかし、奈良仏師の作と考えられているこの像にはしっかりと張りのある肉がつき、衣も写実的に表現されています。運慶が生まれたのは、この像が造られたころでした。

重要文化財 阿弥陀如来坐像および両脇侍立像 運慶作 鎌倉時代・文治5年(1189)
神奈川・浄楽寺蔵 写真:鎌倉国宝館(井上久美子)※10月21日から展示

国宝・大日如来座像

現存する運慶の作品で、もっとも早い時期に制作されたもの。きれいに梳かれた髪のふくらみなどに、たぐいまれな才能の片鱗が感じられます。

国宝 大日如来坐像 運慶作 平安時代・安元2年(1176)
奈良・円成寺蔵 写真:飛鳥園

運慶の彫刻――その独創性

大日如来像の造像から10年間で、運慶は独自の作風をつくりあげていきます。写実性に富み、圧倒的な存在感を放ち、精神の深みまで感じさせる運慶の仏像は、「仏が存在するという実感を得たい」という当時の人々の思いに応えたものでした。

国宝・毘沙門天立像

いまにも動き出しそうな毘沙門天は、北条時政の発願によって造られたもので、このころまでに運慶の作風が確立されたことがわかります。

国宝 毘沙門天立像 運慶作 鎌倉時代・文治2年(1186)
静岡・願成就院蔵 写真:六田知弘

運慶風の展開――運慶の息子と周辺の仏師

運慶の6人の息子は、いずれも仏師になりました。特別展では、運慶の作風を色濃く感じさせる康弁と、洗練された作風を持つ快慶の影響を受けた湛慶の像が展示されています。

重要文化財・十二神将立像

明治時代初頭、それまで安置されていた寺を離れて民間に流出した十二神将は、現在、静嘉堂文庫美術館と東京国立博物館にわかれて収蔵されています。今回の特別展では、42年ぶりに十二神将すべてが揃います。

重要文化財 十二神将立像のうち戌神
鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館蔵

国宝・天燈鬼立像・龍燈鬼立像

運慶の作風を受け継いだ康弁の像は、隆々とした写実的な体躯を持ちながらもユーモラスな雰囲気を漂わせています。

国宝 天燈鬼立像  鎌倉時代・建保3年(1215)
奈良・興福寺蔵 写真:六田知弘
国宝 龍燈鬼立像 康弁作 鎌倉時代・建保3年(1215)
奈良・興福寺蔵 写真:六田知弘

興福寺中金堂について

和銅3年(710)に創建された奈良の興福寺の歴史は、焼失と再建の繰りかえしでした。治承4年(1180)の南都焼討ち後の復興は、仏教美術のルネサンスともいわれ、清新な造仏活動がおこなわれました。
その代表が、運慶の父・康慶が率いた慶派、いわゆる奈良仏師です。
今回の特別展は、享保2年(1717)に焼失したままの中金堂の再建を記念して開かれるものです。これまで門外不出とされてきた作品も出品される、貴重な機会になりました。

中金堂の再建は2018年夏に完了し、10月には落慶法要が営まれることになっています。

《展覧会詳細》
名称 興福寺中金堂再建記念特別展 運慶
会場 東京国立博物館 平成館
会期 2017年9月26日(火)~11月26日(日)
休館日 月曜日
   ※ただし10月9日(月・祝)は開館
開館時間 午前9時30分~午後5時
     ※金曜・土曜および11月2日(木)は午後9 時まで開館
     ※入館は閉館の30 分前まで
公式サイト http://unkei2017.jp/
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料金 一般 1,600円(1,400円)
     大学生 1,200円(1,000円)
     高校生 900円(700円)
     ※税込。( )内は前売り料金

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