ブリューゲルの傑作「バベルの塔」が24年ぶりに来日!「バベルの塔」展が東京都美術館で開催

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東京・上野にある東京都美術館で、2017年4月18日(火)~7月2日(日)まで、『ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―』が開催されています。16世紀のネーデルランド絵画を代表するピーテル・ブリューゲルの最高傑作「バベルの塔」が24年ぶりに展示されるとあって大注目。さらに、奇想の画家ヒエロニムス・ボスの傑作2点も初来日します。

「バベルの塔」展が東京都美術館で開催!「バベルの塔」が24年ぶりに来日

ピーテル・ブリューゲル1世 「バベルの塔」 1568年頃 油彩、板 Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

『ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―』が、東京・上野にある東京都美術館で開催されます。期間は、2017年4月18日(火)~7月2日(日)まで。

今回の展示会の目玉は、16世紀ネーデルラント絵画の巨匠として名高いピーテル・ブリューゲルの代表作の1つと名高い「バベルの塔」。日本で展示されるのは24年ぶりとなります。また、ブリューゲルに影響を与えた奇想の画家、ヒエロニムス・ボスの貴重な油彩2点も初来日。そのほかにも、同時代の絵画や彫刻など約90点で、16世紀ネーデルラント絵画の魅惑の世界を紹介します。

見どころ① ブリューゲルの最高傑作「バベルの塔」

日本で展示されるのは実に24年ぶりとなる「バベルの塔」。本展では、なぜこの傑作が生まれたのか、そしてブリューゲルがどのようにしてこの傑作を描いたのかなど、様々な角度から「バベルの塔」を紐解いていきます。

ピーテル・ブリューゲル1世とは?

ヨハネス・ウィーリクス    「ピーテル・ブリューゲル1世の肖像」(部分)1600年出版  
エングレーヴィング    Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

16世紀のネーデルラント派を代表する画家・ピーテル・ブリューゲル。版画下絵作家として頭角を現し、後に油彩画の製作も手掛けました。人々の暮らしや民話、寓話を生き生きと描き、素朴さの中におかしみや批判的視点を織り込んだ作品で知られています。
特に、油彩画は世界に40点ほどしかないため、希少価値が高く、日本での公開が最も難しい画家の1人とされています。

「バベルの塔」はここが凄い!

「バベルの塔」鑑賞のポイントとして、まず挙げられるのが、その壮大な構図とスケール。他の画家による14〜15世紀の「バベルの塔」の作例が数階建ての塔を建設する人々を描くのに対し、ブリューゲルは地平線まで見渡すパノラマを背景に、巨大な塔を画面一杯に配置。卓越した想像力によって、かつて誰も思いつかなかった壮大なスケールで描くことに成功しました。

また、米粒ほどの大きさで実に細かく描かれた人々にも注目してください。その数はおよそ1,400人と伝えられており、割れたレンガ屑の飛び散った様子や、作業員たちが休む飯場など、「実際の塔の建設に何が必要なのか」と、ブリューゲルが想像力をめぐらせて建設現場の細部を書き込んだことがわかります。その細部にもこだわる執拗な想像力と超絶技巧が、実際には存在しない塔にリアリティをもたらしています。

どうしてブリューゲルは「バベルの塔」を描けたのか?

ピーテル・ブリューゲル1世、彫版:フランス・ハイス  「アントウェルペンのシント・ヨーリス門前のスケート滑り」 1558年頃  エングレーヴィング    Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

伝説の塔を前例にないかたちで描いたブリューゲルには、2つの重要な能力が備わっていると考えられています。ここでは、「バベルの塔」以外の作品からその能力をわかりやすく解説します。

ます、1つ目の能力は、ブリューゲルを語る上では外せない、その鋭い観察眼と写実性。ブリューゲルは、農村で働く村人や祭りの様子なども積極的に描き、晩年は“農民のブリューゲル”とも称されました。その観察眼は鋭く、16世紀の人々の風俗が詳細に、且つ写実的に描かれています。「バベルの塔」で描かれた働く人のリアリティは、このような暮らしへの観察眼から生み出されたことがわかります。

ピーテル・ブリューゲル1世、彫版:フランス・ハイス    アントウェルペンのシント・ヨーリス門前のスケート滑り  1558年頃  
エングレーヴィング    Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

さらに、ブリューゲルは、以前のボスやパティニールらの伝統を受け継いだ、風景画の名手でもあることが知られています。主題を画面手前で展開させつつ、背景には、遥か遠くを見渡すような広大なパノラマ風景を描写。「バベルの塔」を含め、様々な作品で、遥か遠くを見渡すような壮大な光景を描く技術を発揮しています。

見どころ② 奇想の画家ヒエロニムス・ボスの傑作2点が初来日

また、2016年で没後500年を迎え、ブリューゲルにも大きな影響を与えたと言われる奇想の画家、ヒエロニムス・ボス。現存するボスの絵画は25点ほどですが、今回そのうちの2点、「放浪者行商人」、「聖クリストフォロス」が初来日します。

ヒエロニムス・ボスとは?

ヘンドリック・ホンディウス1世    「ヒエロニムス・ボスの肖像」(部分) 1610年  
エングレーヴィング    Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

ヒエロニムス・ボスは、オランダの南部の街・スヘルト—ヘンボスで活動した画家です。ネーデルラント伝統の写実的な細密描写を生かしつつ、地獄の背景やそこの住み着く妖怪たちを想像力豊かに描いた宗教画で、強烈な個性を発揮。16世紀ネーデルラント画壇に一大旋風を巻き起こし、ネーデルランドを治めたブルゴーニュ公フィリップや、スペインのフェリペ2世らも熱心に作品を収集したと伝えられています。また同時代人たちやブリューゲルにも大きな影響を与え、模倣作品や画風を踏襲「ボス風」作品が数多く制作されました。
現存作品は、ブリューゲルよりも少ない"約"25点。今もなお作者が議論されている作品もあるため、油彩画数については学説がわかれています。

人生の選択を描いた1枚「放浪者」

ヒエロニムス・ボス   「放浪者(行商人)」 1500年頃    油彩、板    Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

「放浪者」は、行商の旅人を描いた油彩画。旅人が娼館の誘惑に後ろ髪を引かれる一場面を描いたこの作品は、それまで一般的だった宗教画とは異なる画題を選び、16世紀のネーデルラント画壇に一大旋風を巻き起こしました。誘惑し合う男女や小用を済ます男が子細に描かれており、世俗の営みに対するボスの関心が現れています。
貧しい身なりの旅人は、娼館に立ち寄ったことを後悔しているのか、それともただ通り過ぎようとしているのか。全ての人間は人生において、常に選択を迫られているという暗示が込められた作品と考えられています。

成人の物語にちりばめられる奇想モチーフ「聖クリストフォロス」

ヒエロニムス・ボス   「聖クリストフォロス」    1500年頃   油彩、板  
Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands (Koenigs Collection)

キリストを背に乗せて川を渡ったという聖人、聖クリストフォロスの物語を描いた作品「聖クリストフォロス」。キリスト教の聖人伝をモチーフにしていながらも、猟師に吊された熊、廃虚にいるモンスターなど、ボスならではの謎めいたモチーフがちりばめられています。

見どころ③「ボス・リバイバル」旋風

ヒエロニムス・ボスに基づく    「聖アントニウスの誘惑」   1540年頃  
油彩、板    Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

ボスの死後もその作品の人気は衰えることはなく、数多くの作家が模倣作品を描きました。また、16世紀半ばには、ボスの画風をまねた版画や絵画が人気を博す「ボス・リバイバル」が巻き起こったと言われています。

今回は、ボスの全作品の中でも、最も代表的な作品の1つ、「聖アントニウスの誘惑」のコピー作品が展示。作者不詳のこの作品は、ボスの死後約25年後に制作されたもので、最も忠実なコピーの1つとされています。

ピーテル・ブリューゲル1世、彫版:ピーテル・ファン・デル・ヘイデン 「大きな魚は小さな魚を食う」  1557年  
 エングレーヴィング    Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

さらに、ボスのモチーフを使用して制作されたブリューゲルの作品「大きな魚は小さな魚を食う」も登場します。ネーデルラントのことわざを版画化したこの作品には、足の生えた魚や空を飛ぶ魚などといったボスのモチーフが至るところに描かれています。さらに、版元によって「ヒエロニムス・ボスの構想による」と書き添えられており、死後40年以上たっても、ボス人気が衰えていなかったことがうかがえます。

奇妙なモンスターたちを探してみよう!

ボスが描いたモンスターたちは、ヨーロッパで人気を集め、彼の死後も、ネーデルランドの芸術家たちが、こぞって取り上げるモチーフとなりました。そんなモンスターたちが会場にある「ボス風」版画作品の中に潜んでいます。現代的な感性にも通じる奇妙なモンスターたちをじっくりと鑑賞してみてください。

イベント詳細
名称:『ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―』
会場:東京都美術館 企画展示室
住所:東京都台東区上野公園8-36
会期:2017年4月18日(火)~7月2日(日)
開室時間:9:30~17:30 ※金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)。
休室日:月曜日 ※ただし5月1日(月)は開室。
価格:一般 1,600(1,400)円、大学生・専門学校生 1,300(1,100)円、高校生 800(600)円、65歳以上 1,000(800)円
※()内は前売券・20名以上の団体券。
※前売券は2017年1月11日(水)~4月17日(月)で販売。
※中学生以下は無料。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳持参者と付き添い(1名まで)は無料。
※4月19日(水)、5月17日(水)、6月21日(水)はシルバーデーにより65歳以上無料。
※毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日とし、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は一般当日料金の半額(いずれも証明できるもの提示)で入場できる。
特設サイト:http://www.tobikan.jp/
東京都美術館 公式サイト:http://babel2017.jp/

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