静嘉堂文庫美術館 「超・日本刀入門」 めくるめく刀の魅力に迫る

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紅葉特集2017

「超・日本刀入門」展が、東京・世田谷にある静嘉堂文庫美術館で開催されています。期間は2017年1月21日(土)から3月20日(月・祝)です。国宝の「手搔包永太刀」をはじめとする選りすぐりの名刀約30振から、日本刀の主な見どころ―姿・刃文・鍛え肌の鑑賞や、刀剣の歴史や産地、武将が所持した刀の逸話など、めくるめく刀剣の魅力に迫る展覧会をチェックしてみましょう。

静嘉堂ってどんなところ?

静嘉堂文庫美術館について

静嘉堂文庫美術館は、三菱創業者として知られる岩崎彌太郎の弟で、第二代の社長をつとめた岩﨑彌之助と、その息子で第4代社長の小彌太の父子二代にわたる蒐集品が収蔵・展示されている美術館です。

静嘉堂の所蔵品は、国宝7件・重要文化財84件を含む和漢の古典籍およそ20万冊と東洋古美術品約6,500件からなり、世界に3点のみ現存する国宝「曜変天目」(中国・南宋時代)は、茶道具そして中国陶磁の至宝として知られています。

静嘉堂の刀剣コレクション

国宝  「手搔包永太刀」 鎌倉時代(13世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】

静嘉堂の刀剣コレクションは、義を見て勇み、弱きを見て救う「武士的実業家」と評された岩﨑彌之助が廃刀令直後の明治10年頃から蒐集を始めたものです。静嘉堂文庫には数多くの刀剣に関する書物が収められており、彌之助はここから多くを学びました。なかでも『名刀源秘録』は静嘉堂文庫の蔵書として唯一、彌之助自身の蔵書印が捺されたものとして知られています。

現在静嘉堂には息子・小彌太蒐集のものや岩崎宗家からの寄贈品をあわせ、約120振の刀剣が所蔵されています。その中には、国宝1件、重要文化財8件、重要美術品23件が含まれており、とくに「備前物の古刀」(現在の岡山県東部で、平安時代以後・室町時代までに作られた刀剣)が豊富であることが大きな特徴です。

見どころ1 所蔵の国宝・重文刀剣9件全てが揃い踏み

静嘉堂所蔵の刀剣は約120振、そのうちには国宝1件、重要文化財8件が含まれています。今回の展覧会では、その中から30振を精選、所蔵する国宝・重文の刀剣9振すべてが美術館開館以来、初めて一堂に会します。

健全なる「大和魂」、国宝・包永

国宝  「手搔包永太刀」鎌倉時代(13世紀)
附 「菊桐紋糸巻太刀拵」 江戸時代(18~19世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】

 

包永は、大和国最大の刀工集団・手搔派の祖で、奈良東大寺輾磑門前に住んでいたと言われます。この刀は、大和物らしい鎬高く反り高い姿と柾目の鍛え肌、直ぐ調で二重刃がかり、華やかな変化に富む刃文が特色。正応年間(1288~93)頃に活躍した初代の稀有な在銘作であり、700余年の時代を感じさせぬ健全な出来は大和物を代表する名作です。

見どころ2 織田信長・滝川一益・直江兼続…戦国武将たちの名刀が登場

刀匠をはじめとする多くの職人たちの手を経て生み出され、数百年の時をこえて今に伝わる古い日本刀。静嘉堂にはかの有名な戦国武将から、知る人ぞ知るマニア好みの武将まで、彼らの所持した刀が伝わっています。今回はその中の代表的な7振が出品されます。

信長より拝領の朱鞘の太刀!「滝川高綱」

重要文化財 「古備前高綱太刀(号「滝川高綱」)」 鎌倉時代(12~13世紀)
附 「朱塗鞘打刀拵」 桃山時代(16世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】

「滝川高綱」の太刀は、織田家重臣で織田四天王のひとり、滝川一益(1525~1586)が主君織田信長から賜ったものです。一益は伊勢攻略で活躍、武田討伐の際には武田勝頼を天目山に追い詰め討ち取る功績をあげ、上野一国と小県郡・佐久郡を与えられました。

この刀もその折に拝領したと伝えられ、刀身とともに重文に指定されている朱鞘の打刀拵は、戦国時代末期の様式を伝える希少な作例です。この拵の頭金具には、「織田木瓜」の家紋とともに、信長が永禄11年(1568)に将軍・足利義昭より拝領した「桐紋」が配されており、また鐔は五七の桐の透かし文様であることから、信長の注文で作られたものと考えられています。

「愛」の武将・直江兼続へ贈られた秀吉の形見

「伝 長船兼光刀(大磨上げ無銘、号「後家兼光」)」 鎌倉時代(12~13世紀)
附 「芦雁蒔絵鞘打刀拵」 明治時代(19世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】

直江兼続(1560~1619)は上杉景勝の重臣で、「愛」の前立の兜で知られる武将です。豊臣秀吉から特に気に入られ、大名の家臣(陪臣)でありながらその遺品である本刀を賜りました。兼続没後は未亡人のお船の方から主家の米沢藩主上杉家へと献上されました。米沢藩は幕末維新期の戊辰戦争の際、佐幕派の「奥羽越列藩同盟」に加わって官軍に抵抗し敗北。姻戚関係にあった土佐藩の助力により、比較的軽い処分で済んだことから、その礼としてこの刀が土佐藩主山内家へ贈られたと伝えられています。

日置豊前守所持・前田家伝来の名物「日置安吉」

重要文化財 「名物 日置安吉短刀」 南北朝時代(14世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵 【全期間展示】

日置豊前守忠俊(1571~1641)は岡山藩家老。池田輝政・利隆・光政の3代にわたって仕えました。この刀は、江戸幕府8代将軍徳川吉宗のときに本阿弥家によって編纂されたといわれる『享保名物帳』所載の「名物刀剣」の一振で、幅広く力強い姿と緻密で美しい地鉄が特徴です。

岩﨑彌之助所用の刀も特別公開!

青年時代に岩﨑彌之助の命を救った「津田助広」の刀も特別公開されます。「津田越前守助廣」と銘が切られたこの刀は彌之助が若い頃に指していたもの。大阪・成達書院の塾生時代(明治2年頃)、同塾生と口論になった際、斬りかかる相手の刀にこの刀を抜き合わせ、難を逃れました。その後、彌之助は兄・彌太郎亡き後の三菱を再建し、事業の多角化をはかり、現在の三菱グループに繋がる基礎を築きました。

この刀の鐔元に近い棟には、生々しい斬り込み疵が残っています。

刀工・津田助広って?

津田助広は大坂の刀工で、新刀期を代表する巨匠のひとりです。大波がぶつかり合って崩れ落ちるようなダイナミックな刃文「濤瀾乱れ」を創始して人気が高く、偽物が多いことでも有名です。

見どころ3 重要文化財「平治物語絵巻 信西巻」を3期に分け特別公開

重要文化財 「平治物語絵巻 信西巻」(部分) 鎌倉時代(13世紀) 
静嘉堂文庫美術館蔵 【会期中巻き替えあり】

源平の争乱の前触れとなった「平治の乱」(平治元年・1159年)。そのおよそ100年後の鎌倉時代中期に描かれたと考えられる「平治物語絵巻」は、現在「三条殿夜討巻」(ボストン美術館)、「信西巻」(当館)、「六波羅行幸巻」(東京国立博物館)の3巻が現存しています。今回の展示会では、その絵巻が3期にわけて特別公開されます。

会場に並ぶ鎌倉時代の刀剣と合わせ、絵巻の中に細かく描写された太刀や薙刀、鎧兜の様子をじっくりと堪能しましょう。

関連イベントも開催!詳細をチェック

講演会

展覧会の関連イベントとして、講演会も開催されます。その道のプロがここでしか聞けないトークを披露します。刀剣好きはチェック必須です!

「絵巻物 -平治物語絵巻を中心に」

静嘉堂文庫美術館長・文庫長であり、東京大学名誉教授の河野元昭氏が講演を行います。日本近世美術史学者で、琳派の研究を中心に多くの著作・講演を手がける館長のトークは必聴です。

日程:2017年2月5日(日)
時間:13:30~
定員:先着120名(当日開館時より整理券配布。1人1枚のみ)

「静嘉堂名刀ものがたり ウラおもて」

宮内庁の御剣や静嘉堂の刀剣類を永年手入れし続けてきた吉川永一氏と本展の担当学芸員による対談を行います。研師ならではのさまざまなお話が聞けるチャンスです。

日程:2017年2月19日(日)
時間:1回目 10:45~、2回目 13:30~
定員:先着120名(当日開館時より整理券配布。1人1枚のみ)

実演会

職方実演会「日本刀にたずさわる職方の技」

日本刀制作にたずさわる職人たち(職方)のうち、刀匠・研師・鞘師を招いて刀剣制作の工程の一部が見られます。刃文を焼く際の「土置き」や刀剣の研磨、鞘のかき入れ(削り出し)など、職方の技を間近でじっくりと見学できる貴重な機会です。

日程:2017年3月4日(土)
時間:10:00~16:30
会場:地下講堂 ※見学のための整理券の発行は行われません。随時見学する形になります。
実演:水野美行(みずのよしゆき)氏(日本刀鞘師)、小澤茂範(おざわしげのり)氏(刀匠)、川上陽一郎(かわかみよういちろう)氏(研師)

学芸員による列品解説

学芸員による作品の解説も行われます。日本刀をより深く楽しみましょう。開催場所は展示室、または地下講堂です。

2月11日(土・祝)、3月11日(土)

  • 11時~

1月26日(木)、2月23日(木)

  • 14時~

イベント詳細
名称:超・日本刀入門
期間:2017年1月21日(土)から3月20日(月・祝)
会場:静嘉堂文庫美術館
開館時間:10時~16時30分(入館は16時まで)
入場料:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料 ※団体割引は20名以上
電話::03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式HP:http://www.seikado.or.jp/

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